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(2017年4月、「居酒屋きゅうきゅう」は閉店し、別の店「あぶり屋台トリプルエイト」という居酒屋にリニューアルしています)
バンコクの「丸の内」ともいえるシーロムにはたくさんの飲食店があります。そのなかでも”日本人街”であるタニヤ通り近辺は日本料理屋だらけで、居酒屋はもちろん寿司屋やラーメン屋が多いです。 もちろん、いいのですが、この辺で活動していると、行く店が決まってきてしまう感があります。
数か月前に、滞在年数が二ケタに迫るタイ通の人に、色々な意味で「秘境があるよ。」と連れて行ってもらった居酒屋があります。「きゅうきゅう」という店なのですが、ここは「とにかく静か」、「知る人が少ない」という穴場です。 そもそも、裏通りの奥の奥にあるので、見たことがない人も多いかもしれません。
もし、タニヤのことは、大体わかるという中級者以上の方なら、ちょっとタニヤの通りを頭に浮かべてみて下さい。アクセスはこのような感じです。 タニヤ通りの中ほどに、二つのセブンイレブンがあります。
その間の路地を入るとカラオケの「JUJU」に突き当たります。そこを左に曲がり少し行くと右側に老舗の「クラブ愛」があります。 その「クラブ愛」の並びの雑居ビル群を奥までのぞいてみると、ホテルの「タニヤイン」などがありますが、その一番奥の行き止まりに「きゅうきゅう」という看板が出ているのをみたことがありませんか? 夜なんかは、薄暗くて怪しいのですが勇気を出して、「藤岡弘、探検隊」みたいな気分で進みます。
< 隠し扉を開けると座敷へ続く階段出現 >
恐る恐る扉を開けると、左側に向かって6席ほどのカウンター席が並んでいます。とにかく横幅が狭く、カウンター席の背後が廊下、というより、廊下にカウンター席がある、といった感じです。 その日は4人だったので、タイ人女性スタッフに「座敷はないですか?」と訊くと、「コチラドウゾ~」と言って奥に進みます。突き当たりには画像のような地味な扉がありました。最初、物置の扉かと思ったのですが、開くと、狭い階段が出現! 上っていくと、最上部でいきなり行き止まりとなり、背後に折り返すと忍者屋敷のように細い廊下が、店の表側に向かって続いています。その左側と突き当りに2つだけ個室があります。 部屋は掘りごたつ風になっており、引き戸や窓は障子のサンの形になっています。洋風の絵がかかっていますが、傾いていて場末感満載です。
< 安くて良心的。味は大当たりとそれなりが混在。 >
料理は、たとえば、ほうれん草おひたし70バーツ、焼きニンニク(2串)70バーツ、冷奴60バーツ、といったところです。 ビールは1本150バーツで、焼き銀杏や田楽もあり、メニューの品目は、渋いガード下の縄のれんの店みたいで好感が持てます。しかし、4人いたのでキムチ鍋を頼んだら、まさかの「キムチナイデス・・」との返し。 実は前回来た時も、同じパターンで、要するにここはキムチがない、のでしょう。そんなトホホなところもありますが、全体的に安いです。味は、当たりはずれはあるみたいで、画像の餃子は可もなく不可もなくといったところでした。
(以上は2016年1月頃、下記は2016年7月追記)
しかし、半年ぶりに訪問したところ、パワーアップしていました。
クリームカニコロッケ(400バーツ。2つなら200バーツ)とてもやわらかく、カニのハサミを持つと自分の重みで、とろっと崩れてしまったほど。クリーミーですね。
ししゃも(6尾で270バーツ。2尾から。) 見てわかるように丸丸太っていておいしい。
カレーライス 150バーツ。日本の喫茶店のカレーの味。あの黄色いカレー。多分、S&Bの缶のカレー粉を使っているんだろうな、というある意味定番の味で、懐かしい。ボリュームもGOOD!
餃子。
< 場違いな現役女子大生が登場!? >
お運びスタッフは、最初、愛想のよい40代くらいの丸っこい姉さんが席に案内してくれましたが、あとは、銀ボタンブラウスに黒スカートの制服姿の女子大生が出現。かいがいしく料理を運んできてくれました。なんでもここの娘らしいです。まさかパッツン現役女子大生が水割りを作ってくれるというのは、それだけ聞くとある意味、楽しくなるシチュエーションのはずですが、店の雰囲気や真面目で牧歌的なその娘の様子のせいか、そういう変な方向に意識はまったくいきません。
なんというか、昭和30年代の大衆食堂でセーラー服姿の娘が家業を手伝っている、という感じです。ほほえましく、まったりしますね。
全体的に、落ち着いた雰囲気です。とにかくお客が少なく静かなので、なじみの友達とゆったり呑んだり、話すことがある、というときは格安で静かな個室が確保できる、と考えれば使える店ではあります。 インターネット上では、4年ほど前に、ぼったくり(頼んでいない料理を水増し請求された)をされた、という体験談をみかけたこともありますが、店員が入れかわったのか、不審なことはありませんでした。(2016年7月 再訪問時も異常なし。むしろ料理の質、提供スピードが上がっていました。相かわらずお客はいないですが・・・)
気取らずに、ゆったり呑む隠れ家としては、良い店でした。