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タニヤやノンカイ、ラオス舞台の映画「バンコクナイツ」解説とロケ地

タニヤやノンカイ、ラオス舞台の映画「バンコクナイツ」解説とロケ地

タイ・バンコクの日本人繁華街タニヤ、タイラオスとの国境のノンカイ、そしてラオスに至るまで幅広いエリアでロケを行った映画「バンコクナイツ」が公開されています。タイに行ったことがある人や滞在している人、特にタニヤ通りで飲んだことがある人やカラオケ嬢(タイ人ホステス)の魅力にどっぷりはまっている人であれば、“あー、あるある!”と感じる描写が多い映画だと思います。タイにソンクラーン観光などで訪問した際に、「バンコクナイツ」のロケ地と思われる場所などを訪れてみるのも興味深いと思います。「バンコクナイツ」のひとつの鑑賞のしかたと、ロケ地についてまとめてみました。 

2分でわかる「バンコクナイツ」あらすじ 

まだ「バンコクナイツ」を観ていないという人のために、結末は伏せて簡単なあらすじをご紹介します。なにしろ本編は3時間という長編です・・・。 

タイ・バンコクの日本人向けクラブで働くホステス・ラックは、昔恋人だった元自衛官のオザワと再会します。ラックは現在はその店のナンバーワンホステスとして高給を得ていますが、一方のオザワはインターネットで小銭を稼いでタイに滞在するいわゆる“沈没組”(不安定な身分・わずかな収入で生活費の安いタイに滞在を続ける人)となっていました。

生活費がままならず“日本にも居場所がない”というオザワは、バンコクで怪しげな紹介ビジネスを展開している元上官の紹介で、ラオスの不動産調査に行き再起を図ることになります。ラックも、彼女に生活費をたかり麻薬におぼれて田舎に暮らす母親や、僧になるか軍隊に入るかで悩む腹違いの若い弟との問題を清算するべく、ラオスとの国境の街で彼女の故郷であるノンカイに、オザワと一緒に向かうことにします。そこでも多くの人と出会い、そしてラオスへ。40年経ったいまも人々の運命や大地に残る戦争の傷跡をみかけながらの旅で、「楽園」は見つかるのか・・・?

大阪・シネ・リーブル梅田の入り口。

大阪・シネ・リーブル梅田のバンコクナイツポスター。

 人間描写のリアリティがえげつないほどリアルな理由

この映画にリアリティが感じられる理由のひとつとして、人間の他者に対するふるまいについての描写が容赦なく赤裸々で、秀逸な点があります。

登場する日本人だけに絞っても、日本円の威光でタイ人女性になんでもやらせることができると傲慢にふるまう人、水商売の女性にはまる人、疑似恋愛などの描写はもちろん、タイの事情がわからない日本人をカモにして怪しげなビジネスを持ちかけたり騙したりする人のうさんくささや、“滞在歴が長くタイをよく知っている事情通”という立場で他人を批評するという、虎ならぬ“タイの威を借りる狐”、タイ人や在住日本人には“タイはこれだから…(ダメなんだ)”と否定して日本式の価値観に従わせる一方で、タイに来た日本人には“ここはタイなのだから”と言うことを聞かせるダブルスタンダード、など、タイでありがちな人間のふるまいの描写がえげつないほどに表されています。

でも、これは別にタイ特有の現象ではなく、日本人コミュニティが存在する外国ならどこでも、あるいは、東京や大阪などの大都市と田舎、という構図のなかでも起こりうることです。このことについて映画の中では、タイだけではなく、ラオスやカンボジア、日本の福島に関する描写やせりふもありますので、タイに限定した話ではないということが示されています。

これらに加えて、タイ人ホステス・ラックをとりまく、バンコクで水商売をやる娘に一族の生活がかかっているという状況、でも田舎に帰ると水商売をしている女という目で見られて居場所がない、という現実、などのタイ人ホステスの行き詰った生活の描写が合わさり、物語と登場人物にリアリティを与えているのです。

そして、この二人の男女が、こうしたドロドロした人間関係の閉塞感から解放される「楽園」(桃源郷)を求めてさまよう、というのが「バンコクナイツ」の物語になります。 %e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%b3%e3%82%af%e3%83%8a%e3%82%a4%e3%83%84

「戦争」と「世代を超え同じことが繰り返される」という二重構造の物語 

 「バンコクナイツ」には二重の構造が設定されています。ベースは「戦争」、そしてそのうえで「同じことが世代を超えて繰り返される」というループです。

オザワはカンボジアにPKOで派遣された元自衛官、ラックの母の死別した夫はベトナム戦争の米兵であったこと、そして仕送りで生活を支える腹違いの姉ラックとすさんだ生活をしている実母との間に挟まれ、僧になるか軍人になるかで悩む弟、そして、ラオスに渡ったオザワの目の前に広がる、米軍の爆撃でできたたくさんの巨大な大地の穴。このように「バンコクナイツ」では、ところどころで戦争の存在が顔を出します。 

また、水商売をやっていた母が米兵と結婚するも死別後に生活と精神が破たんし、その娘が母親に複雑な感情を抱いてバンコクに出て、”現代の米兵”である、強い立場にある日本人相手に水商売をして金を稼ぎ、母親と弟妹を救い出してオザワと新しい生活ができるのでは、とかすかな希望をもっているという流れになっていますが、これは、同じことが繰り返されていくという構造になっているわけです。そして、そのループはこれからも続いていくのです。

 

シネ・リーブル梅田の入り口

シネ・リーブル梅田の入り口

なぜラックはオザワを殴ったのか?バンコクナイツの考える“楽園”とは(ネタバレ注意) 

ひとつだけネタバレですが、物語の最後の方でラックとオザワが、付き合い始めたころに行った海を再度訪れる場面があります。ラックは抱こうとするオザワを突然殴って立ち去ります。

この謎のシーンを解釈すると、上記のように閉じた円のなかで「同じことが繰り返されていく」という構造から、自分も逃れることはできなくて楽園なんかない、ということを本能的に悟り、嫌悪感を感じたためだと思われます。既にラックも母と同じように精神が破壊されていくという道に入りかけているわけで、ギリギリでそれを拒否したのでしょう。でも、現状を否定しても居場所が見つかったわけではありません。

別れた二人が、ラックはカラオケ嬢を続け、オザワはタニヤの客引きになっているという描写で映画は終わりますが、二人とも桃源郷ではなく“戦場”に戻っていったのです。別になにかに使うわけでも撃つシーンもないのにオザワが元米兵から拳銃を購入するシーンもあり突然すぎて意味不明ですが、これも“自分は殺伐とした戦場に戻るしかないのだ”という彼の意識を表すものと考えれば理解できる気がします。その銃も、オザワにとってはなじみのあるPKOの”平和維持活動”で使った口径ではない米軍の銃であり、明確に抑圧する側の一員としての道具を手にしているということを、示しています。

これは撃つ者としてのオザワの立場を示すものです。自分は人を抑圧したり破壊していない、ただ桃源郷を探しているだけなんだ、ということが通用しないということを悟ったという事なのだと思われます。

「バンコクナイツ」のロケ地はどこ?

「バンコクナイツ」はこのような難しいことを考えなくてもリアルな描写だけを追って行っても楽める映画です。

ロケ地と思われる場所をご紹介しましょう。 %e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%b3%e3%82%af%e3%83%8a%e3%82%a4%e3%83%84-7まず、これがタニヤ通りです。物語の冒頭、店に出勤するラックがトゥクトゥクに乗ってこの通りを目指し、物語の最後に、オザワが客引きとなって路上を徘徊するシーンはこのあたりの風景です。タニヤ通りは、バンコクのシーロムという街のなかにあります。高架鉄道のBTSのサラデーン駅が最寄りです。空港からのタクシーでは「シーロム・サラデーン・タニヤ」などと運転手に告げるとサラデーン駅前に連れて行ってくれます。 

ホステス・ラックが勤めているクラブのタニヤ通りにあった「アテッサ」という店がロケ地です。映画で「ニホンゴデキルコ~」とチーママが言うとひな壇に並んだ女の子たちが「ハイハイ」と手を上げるシーンが印象的でした。タニヤ通りには多くのカラオケ店(日本人相手のキャバクラ)がありますが、大きな店でないと、ひな壇にずらっとカラオケ嬢が並んでいる様子を見ることができません。ロケ地となった「アテッサ」はタニヤ通りの両替所「タニヤスピリット」のビルの6Fにあった大型店でしたが、「バンコクナイツ」の公開直前に閉店となり、現在はその場所には店はありません。

もし映画の雰囲気を味わいたければ、同じビルの3Fにある「ageha」という店が同じ店の広さで、女の子の数はタニヤで一番多い店なので、ひな壇にならんだタニヤ嬢の様子を見るにはおすすめです。アゲハ公式サイト

これが開店前の「アゲハ」の様子です。(公式サイトより)%e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%b3%e3%82%af%e3%83%8a%e3%82%a4%e3%83%84-6

さいごはラックの故郷、ノンカーイです。

ラックとオザワがノンカーイの実家で一緒に過ごした後、オザワがラオスへ向かいます。バイクで送ってきたラックとオザワが別れ、オザワが歩いてゲートに向かうシーンがありましたが、それはここです。このゲートは本物の国境ゲートで、この先にあるメコン川を渡ればラオスです。%e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%b3%e3%82%af%e3%83%8a%e3%82%a4%e3%83%84-3

ノンカーイはタイの北部にあります。バンコクからは600㎞離れています。行き方ですが、タイ国鉄で夜行列車に乗りノンカイ駅で降りるか、飛行機でウドンタニという北部の街に向かい、そこからバスでノンカイを目指すという方法になります。ノンカイからはバスや列車でメコン川を越えてラオスに入れます。

詳しい行き方はこちらの記事にまとめましたので参考にしてください。

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「タニヤやノンカイ、ラオス舞台の映画「バンコクナイツ」解説とロケ地」記事でした。

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