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タイ新型コロナウィルス日系工場休止情報・労働者への給付金政策とは

タイ新型コロナウィルス日系工場休止情報・労働者への給付金政策とは

目次

世界中に広がっている新型コロナウィルスですが、世界中の都市で外出や入国の制限などの対策が行われています。同時に、世界各国に進出しているグローバル企業の工場の操業停止も相次いでいます。
タイ王国では2020年3月26日に非常事態宣言が発表となり、外国人入国制限や、娯楽施設などの休業指示が行われました。生活に必要な生産拠点の稼働は制限対象とはなっていませんが、タイへ進出している日系企業によっては操業を休止する工場が出始めています。

最初に、タイに進出している日系企業の工場で、休業に踏み切った企業の情報をまとめます。(2020年3月29日現在)

タイの主な日系企業工場の休業状況

【企業名】 ホンダ
【内容】 自動車
【休業工場の場所】 第一工場:アユタヤ ロジャーナ工業団地、第二工場:プラチンブリ ロジャーナ工業団地
【休業予定期間】 2020年3月27日~4月30日
【備考】 タイで自動車生産する2工場のいずれも停止。8000人もの従業員は有給休暇で自宅待機に。北米やインドや、マレーシア工場も稼働停止中。

【企業名】 マツダ
【内容】 自動車
【休業工場の場所】 チョンブリー県
【休業予定期間】 2020年3月30日から約10日間の予定
【備考】 日本の広島県と山口県の工場も昼のみの操業などにして生産調整へ。

【企業名】 トヨタ自動車
【内容】 自動車
【休業工場の場所】 サムットプラカーン県サムローン、チャチューンサオ県バンポー、チャチューンサオ県ゲートウェイ
【休業予定期間】 2020年4月中旬頃まで10日間ほどの予定で調整中
【備考】 タイはトヨタの東南アジアの自動車生産の6割を占めている。タイの3つの工場を10日間ほど休業。

規模が大きい自動車製造工場の休業が多いようです。
三菱自動車やスズキ、パナソニック、ミネべア、デンソー、キャノン、ニコン、ダイキン、関西レジンなどはいまのところタイの生産拠点の休業の情報はありません。

これらの企業の多くは生産拠点を世界中にもっています。すでに中国や欧州、マレーシアの工場を休業していたりするので、部品が手に入らなくなっていることもあり、タイなど比較的新型コロナウィルスの感染者拡大がおさえられている国の生産ラインをストップはさせないようにしているという方針と思われます。
しかし、タイの感染者数が今後さらに拡大する場合は、どうなるか見通しは不明です。


タイの労働者の状況・一人当たり5,000バーツの給付金とは

タイは東南アジアのデトロイトと言われているほど各国の自動車メーカーの工場が集中している国です。さらに部品のメーカーは約5,000社がタイに集まっています。
こうした、製造業の工場を支えるタイ人労働者の数は相当な数になります。これらの工場が閉鎖となると、タイ全体の労働者の生活にも大きな影響があります。

タイ政府は、新型コロナウィルスの感染者拡大を防ぐ娯楽施設や販売業などの営業の停止で起こる労働者の収入への影響対策として、特別の経済刺激政策を打ち出しました。

(1) 新型コロナウィルス対策のための一時的閉鎖措置により影響を受け、かつ社会保障制度でカバーされていない労働者に対して月額5,000バーツの現金給付(4月~6月の3カ月間)

(2)一時的閉鎖や企業の一時的解雇措置により影響を受け、社会保障制度に加入している被雇用者に対して、賃金の50%を保証(一時的閉鎖措置によるものは最大90日まで、一時的解雇措置によるものは最大180日まで)


仕事が1か月止まると破綻する世帯が多い理由

新型コロナウィルス対策の結果、仕事がなくなった人は1ヵ月5000バーツが3ヵ月もらえるか、社会保障制度に入っている社員は給料の50%がもらえる、ということです(年収18万バーツ以上の人は不可、など条件は色々あります。)
この給付金の受け取り資格に該当する人はタイの人口の3分の1にあたる1700万人近くになります。これだけの人が殺到したため、申請受付のウェブ窓口がアクセス過多で一時ダウンしたとのことです。

新型コロナ対策の給付金窓口サイト

大変多くの数の国民に影響がある政策に踏み切ったタイ政府の思い切りもすごいですが、それだけのことをしないと国民の生活が破たんしかねないという判断があるというところに深刻な影響がうかがえます。

もともとタイの低所得者の家計は厳しいものです。
タイの全2160万世帯のうち1570万世帯(約72.9%)が貯金をしている一方で、その27%にあたる580万世帯は貯金額が0バーツ。加えて、タイでは2018年9月時点の家計債務が12兆5,500億バーツと、前年同月比で5%ほど上昇しているそうです。(2019年タイ中央銀行の発表)
タイの全世帯の3割は貯金がなく、1世帯当たり平均58万バーツの債務を抱えているのです。

つまりローンまみれの世帯が多く貯蓄もないため、収入がストップしてしまったら、生活はおろか債務返済も滞ることになります。そうなれば、個々の生活だけの問題ではなく社会的な大混乱につながることは明白です。

非常事態宣言での外出や商業活動などへの制限は、今のところ4月30日までとされていますが、状況次第では延長もあるのではという観測もあります。しかしそうなった場合のタイ経済への影響は甚大なものになるので、タイ政府としては難しい判断になると思われます。

タイ新型コロナウィルス日系工場休止情報・労働者への給付金政策とは情報でした。

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