タイランドのバンコクにおいて賃貸や居ぬきで店舗やオフィス物件を売買して入手する際に、建物自体の劣化状況などで、チェックする項目は色々あるかと思います。そうしたなかで、みておかないといけないポイントのひとつに、水道があります。
店舗物件の場合は特に、トイレや流し台などが重要ですが、水圧が低かったり水道管が劣化している場合があるので注意が必要です。
水圧についてはこのようなことがあったそうです。
古い雑居ビルの2Fにある飲食店を居ぬきで手に入れたU氏の話です。
「流しの水圧がとても弱いんです。下見の際にも気づいてはいたんですが、他のチェックする場所に目が行っていたこともあったので、あとで元栓を緩めればいいや、と思って放っておいたのです。」(U氏)
ところが、ことはそれほど単純なものではなかったそうです。
「店を契約して、内装を入れたのですが、その時も流しは特にさわっていなかったんです。で、工事が終わった後に雇った料理人に試しで厨房を初めて使わせたときに、水の流れが弱い、ということで流し台の下の元栓があるところを開けてみたんです。」(U氏)
流し台の下にあった元栓のバルブをU氏は開けようとしましたが、すでに「全開」状態だったそうです。
「バルブが閉まっていて水が流れないわけではなかったんです。バルブは全開でした。要するに元の水圧自体が弱かったんです。」(U氏)
ところがそれからが簡単ではなかったといいます。
「工事業者を呼んで、まず屋上の貯水タンクを見てもらったんですが特に異常なし。ビルの他の階のテナントでは特に水圧が弱いということはなかったので、原因がわからないという状態だったんです。考えられるのは屋上の貯水タンクと蛇口を結んでいる水道管が古くて中が詰まっているか、貯水タンクの作り自体が古いので各階に送る水の力が弱いからではないか、ということになりました。」(U氏)
しかし、貯水タンクの改修をビルオーナーに頼むと拒否されたそうです。
「他の階の借主からは苦情は出ていない。もしどうしても貯水タンクをいじりたいなら、修理費用は全額負担してくれ、とのことでした。共用部分なのにめちゃくちゃな話です。しかたないので、自分の店に通じる水道管の取り換えだけとりあえずやることにしました。」(U氏)
それにも結構な金額と他の階を通る部分についての立ち入り許可交渉など、コストと手間がかかったそうです。
「困ったのは、他の階への工事交渉にも大家はまったくノータッチだったことでした。自分の物件の工事なのだから一言でも言ってくれればと思いましたよ。」(U氏)
工事結果はどうだったのでしょうか。
「結論からいうと若干しか改善できませんでした。下水ならともかく上水道である水道管が詰まっていたわけでもなく、多少流れが良くなった程度でした。やはり屋上の配水タンク自体の構造の問題としか考えられないので、そこの新調しか後は方法がないけれど、相当な金額になりそうなので、今のところ交渉しているところです。」(U氏)
このように、居抜き物件を入手した際の、建物の共用部分ともいえる配水・下水関連のラインといえども、ビルオーナーや大家は改善対応にはノータッチであることが多いので、入手時に確認をしておいたほうが良いでしょう。