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タイで日本人“わいせつナンパ動画”炎上理由と謝罪内容・現地の声

タイで日本人“わいせつナンパ動画”炎上理由と謝罪内容・現地の声

目次

タイで日本人の中年男性2名が、タイ人女性をナンパする動画を撮影しYoutubeにアップロードしました。この動画の内容は、ナンパした女性に対してわいせつな行為がどれだけできるかについて項目ごとに点数化し、どちらが“高得点”をとれるかということをゲームのように行うというものだったためタイで大きな非難の声が高まり、二人は謝罪動画を投稿しましたが社会問題化しています。
事件の詳しい内容についてまとめ、なぜ炎上したのか、どういう点が問題なのかについて現地の状況をまとめます。

タイ”ナンパわいせつ動画”事件の概要

まず、事件の概要についてまとめます。

2020年、タイ在住の日本人中年男性AおよびBは、タイ北部のチェンマイにおいてYouTubeの企画として、タイ人女性に対しわいせつな行為などができるかを競い合うという動画を撮影、二回に分けて前編を3月13日、後編を5月7日にBのチャンネルから配信しました。
動画内で、ナンパした女性に対してわいせつな行為がどれだけできるかについて点数化した項目のうち、主なものは以下の内容でした。

握手:10p
SNS or電話番号ゲット:50p
ほっぺにキス(どちらからでもOK):100p
口にキス:300p
パンツを見せてもらう:400p
ホテルに行く:800p
手コキしてもらう:1,000p
女の子の実家に行く:1,000p
彼氏が来て怒られる:500p
(該当動画より。該当動画は削除済み。)

タイ ナンパ動画

現地タイ人の反応について

これを視聴した、タイ在住日本人や日本語ができるタイ人の間で批判が広がり、タイ語で動画を批判するツイートには、1万7000のリツイートがなされるまでになりました。これを受けて動画を撮影したAおよびBは該当動画を削除したうえで6月3日、謝罪動画を発表しました。

Aは「タイの方特にタイ人女性の方‥‥に深くお詫び申しあげさせて頂きます。」(「【謝罪動画】私が出演したYouTubeのナンパ企画に関して」)と謝罪し、
そして、Bは「タイの女性を軽視したりバカにするような意図は、なかったのですけど、そうとられてもおかしくない表現があった」(「謝罪Mek Kato(Jun2.2020)」動画より)と釈明しました。
しかし、事態は沈静化していません。

「私たちをバカにしているのか。見た瞬間本当にイライラした、許せない。とても悲しい。こんなことをする日本人は、タイから出て行ってほしい」(タイ人女性)
という声もあがっています。

ナンパ動画の出演者はどのような人物なのか

動画に登場したAとBはどのような人物なのでしょうか。

Aはタイのスクンビット26エリアなどで風俗マッサージ店などを経営しています。
その店の宣伝などのためにSNSを頻繁に更新し、著名人との人脈をアピールしていたそうです。
「Amazonプライム・ビデオの婚活サバイバル番組『バチェラー・ジャパン』に出演していた女性と写真を撮るなどして話題になった」という報道もあります。

Bは、タイに複数ある日本人向けバーのグループの一員で、YouTubeチャンネルを開設して旅の様子や自作の音楽を配信しており、「過去には風俗雑誌のナンパ企画に参加していた」とのことです。

「2人に対しては、あまりいい噂がなく、タイの大学で日本語を勉強している学生の間では大炎上」という報道が現地ではなされています。


なぜ問題が大きくなったか

1、タイ人は性に寛容と思う日本人の勘違い

なぜここまで問題が大きくなったのでしょうか。
もちろん、「パンツをみせてもらう」「手コキしてもらう」といったわいせつなことに点数をつけて競い合うということ自体が、公序良俗に反するわけです。
タイといえばナイト産業が盛んで、外国人観光客を対象としたゴーゴーバーやカラオケなどが多くあるのは事実です。でもタイでナイト産業に従事する人は、15万人〜20万人といわれています。(タイの人口6800万人)
一方、日本では30万人ほど(人口1億2000万人)といわれているので人口比で考えると、日本と比べて極端に多い割合というわけではないのです。
どうしても、夜の繁華街が密集してあって過激なので、印象が強くなってしまうのですが、当たり前ですがタイ全体から見れば夜の世界は一部の世界なのです。
また、タイの国民性は明るくてサービス精神が旺盛な傾向が強いため、性に開放的なイメージがあります。しかし日本人にはあまり知られていませんが、タイの国民性は一般的にはとても保守的でシャイな人が多いです。

タイ 警察
法律の規制もわいせつ行為などに対しては厳しいです。
タイではFacebookやTikTokなどが盛んで、日本などと同じように若者らが自分の動画をアップしていますが、2017年にはニップレスとパンティ姿でダンスした20代の女性二人が逮捕されるという事件も起きています。女子高校生らが制服姿で色気のあるダンスを踊った動画が問題視されたりと、治安当局と世論は意外と厳しいのです。
タイでは日本のTV番組が人気で、アニメやバラエティー番組などが“輸入”され放映されていますが、日本では問題にならないような、登場人物が水着や下着姿になっているシーンがモザイクやぼかし加工をされていたりします。
エロ本やエロDVD、ポルノサイトは完全違法のものであり、日本のようにコンビニでシール付きとはいえエロ本が購入できるような国ではないのです。

タイ アニメ 規制
ぼかしが入れられたTVの「どらえもん」

今回の騒動のA、Bは風俗マッサージやバーを経営するなど、ナイト産業に関わっています。普段彼らが接しているタイ人風俗嬢らは、お色気全開の言動をしているだろうことが推察できますが、当然彼女らはあくまでもプロとして客や経営者に接しているわけで、それが本心とは限らないわけです。仮に彼女らが性に開放的な性格だったとしても、それはタイ全体から見れば特殊で一部の人々であり、大多数のタイ人は異なった価値観を持っているということに、感覚が麻痺して気づけなくなっていたのではないでしょうか。


2、タイ人のナイト産業への複雑な感情

一般的なタイ人がもつナイト産業に関わる女性への意識も複雑なものがあります。
貧困ゆえにそうした仕事をする人がいることに一定の理解はあるものの、同時に「恥ずかしいこと」ととらえる感覚もあります。
その証拠に、ナナプラザでもパッポンでもタニヤでも路上や店の前に客待ちの嬢達が座っていますが、写真撮影はご法度です。もし携帯電話を構えると多くの女性たちは手で顔を隠し、チーママらスタッフがその観光客に「ノー・フォト!」と怒鳴りつけます。
「田舎に帰ったら、バンコクでこうした仕事をしていることを、絶対言えない」と話す女性もよくいます。
でも、観光大国であり同時に貧富の差が激しいタイではこうした夜の世界の仕事に従事する人が田舎の家族に送金して生活を支えているという面もあるのが事実で、要するに、触れられたくない闇の部分なのです。タイ ナンパ動画

そうした心理もあって、路上にいる一般人のタイ人女性に対して、バンコクのナイト産業に関わっている外国人の中年男性が、性的な誘惑をする、という構図をタイ人が見たら、
「ぜんぶのタイ人が夜の業界の人間ではないんだぞ。」
「おまえら外国人が、自発的に夜の街で働く女性を相手にするのは目をつぶるけど、繁華街のノリを他の所にも持ち込むのは許せない。」
という心理にもなるだろうことは想像できます。もしかしたら「一緒にするな」という負の感情で怒る人もいたのかもしれません。
“女性を蔑視しているから不適切だ”というフェミニズム論的な批判ももちろんありますが、それに加えて、こうした複雑な感情も背景にあるということに、日本人側はなかなか気づきにくいです。

3、特権意識への反発

もうひとつ、今回の炎上騒動で問題になっているのがAの過去のツイッターでの投稿記事です。
Aはバンコクのスクンビットエリアで風俗マッサージ店を複数経営しておりその宣伝をtwitterで行っていたのですが、そのなかで、バンコクの管轄の警察(前)署長と会食をしている写真をアップしていました。
また、現在新型コロナの感染拡大を抑えるために発令されている非常事態宣言で、風俗店などは営業を停止していますが、Aは6月1日から自分の店は営業再開が可能であるというツイートをした(のちに誤解だったとして削除)のです。
これも問題視されています。
少なくないタイ人は“日ごろから警察とのコネクションを誇示していた日本人の風俗店経営者が自分の店だけ便宜を図ってもらってオープンしようとした”という受け取り方をして問題視しています。
Aは、謝罪動画で「警察署長はただの友人」「不確かな情報を信じてしまい、6月1日から私の経営するマッサージ店2店がオープンすると勇み足でツイッターの方で告知してしまいました。」
と、あくまでも誤解だったと釈明しています。
ツイートが削除された現在では、文脈を確認しようがないのですが、“コネクション誇示説”をとるタイ人は、今回の“ナンパ動画”問題と結びつけています。

つまり、日ごろから有力者とコネクションをもっている(と見せかけている)外国人が、その思い上がった考え方の中で、タイ人女性を見下してゲーム感覚でわいせつな行為をしようとした、というとらえ方をされてしまっているのです。
これは、わいせつ動画以上に深刻なことで、日本人が金やコネの特権意識を使って一般のタイ人を見下している、と思われてしまいかねないことです。
“いたずらがすぎました”という問題ではなくなっているため、タイ在住の日本人の間でも、国際問題に発展しかねない重大な過ちだ、と重く見ている人が多いというのが現地の状況です。

今後の問題点について

これ以上の波紋を呼んでなんらかの規制がかかれば、タイのナイト産業でプロとして仕事をしたいタイ人女性たちの仕事の場を奪うことにもなりかねず、観光客の安心と合わせて大きなものを奪いかねないことです。

夜の世界の人たちに報酬を払ってプロとしてのサービスを受けつつ一緒に人として対等に交流したり疑似恋愛を楽しむことと、相手を見下して一方的に言うことをきかせようとすることとはまったく別のことです。

 

以上、今回の問題点を簡単にまとめますと、
1、タイのモラルを、繁華街で麻痺して見誤った。
2、外国人が自国女性を性的な目でみることへのタイ国民の反感に鈍感だった。
3、コネなどの特権意識をひけらかすことへの反発。
4、1~3を犯した外国人はタイ人を軽くみているのではと感じさせてしまった

これらが、タイ現地でみているとみえてくる、騒動が大きくなった要因でしょう。こうした部分を、コロナ規制の解除後、滞在の日本人は留意してタイの人との信頼関係の再構築をおこなっていかないといけません。

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