タイ・バンコクの日本人プログラマーには、会社に所属している人、個人事業としてやっていて発注を受けて仕事をする人、など形態はさまざまです。日本人プログラマーにはどういった需要があるのでしょうか。転職活動をする場合や、仕事を個人でとってくる場合、どのようなことを心がければよいものなのでしょうか。
< タイ人プログラマーのスキル事情 >
タイにおいては、日本企業が一人の日本人プログラマーを募集して雇用する、つまりワークパミットを発行するなどの必要な手続きをするためには、タイ人を四名雇わなくてはいけない法律になっています。したがってそういった企業には日本人の4倍のタイ人エンジニアがいる計算になるわけです。 企業側としては、それだけ多くのタイ人技術者に接していると、いやでも傾向がみえてくるところがあります。
某日系企業でシステム開発部門を統括している管理職に就いている人の話ですと、多くのタイ人プログラマーのスキルは決して低くはないが、言われた部分にしか目がいかない、という傾向があるという指摘をしていました。
「たしかに仕様に書いてあるようにはできているけど、意図はそっちじゃないんだけどな、という感じで。全体を考えたコーディングになっていないことが後からわかるのがきつい。」(同社A氏談)
このためデザインなど、技術としては親和性を考えずできる分野では、とても高いパフォーマンスを発揮するようですが、調和を考えると難しい部分があるようです。
< タイ人エンジニアから考える求められる人物像 >
また、タイ人エンジニアのキャラクターはどうなのでしょうか。
「相談なく突っ走ってしまう傾向がありますね。真面目なんですけど、行き詰っていても言ってくれない。システムが動作しない、という最終のところになって発覚する、ということが多いんです。」(同社A氏)
また、先述の「言われた部分にしか目がいかない」という気質は、全体を見通した発想力が求められるソフト開発や、組み込みの作業等には向かない、ということにもなるようです。
「チェンマイとか地方都市でもいい学校がありますし、人材がまだまだ足りていないのもありますが、全体としての底は悪くはないはず。だけど、厳しい言い方をすると突き出たものもない。これからなんだと思いますが。」(同社A氏) 逆に言えば、そういった部分を補完できる日本人プログラマーの需要はとてもあるといいます。 ブリッジエンジニアも求められるのでしょうが、取り立てて語学力がなくても構わないのだといいます。
「まあ、これはウチの場合ですけど、別に、タイ人SEに指示をしなくてもよくて、そういったことはこちらでやりますから、全体像を把握しながらシステムを構築できるスキルの人がいたら、それだけで助かるんですよ。柱になるので。」(A氏)
もちろん、プロジェクトごとに求められるスキルや役割、人物像は異なるものですが、ひとつの需要の方向性としては、オピニオン・リーダー的にざっくりと全体の方向性を示しつつプログラムが書ける、ということが求人や外注の際、求められているようです。