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タイで犬にかまれたら?狂犬病の曝露後ワクチン必要ケースと方法・費用

タイで犬にかまれたら?狂犬病の曝露後ワクチン必要ケースと方法・費用

目次

タイに仕事などで長期滞在していたり、観光旅行で来ていると、街中で野良犬を見かけることがあります。こうした犬に咬まれたときにはどうすればよいのでしょうか?
狂犬病の治療のためのワクチンを受ける手順や、どういう場合に受けるべきか、病院への行き方、費用などについてまとめます。


第1章:どういうときに事後ワクチン注射する?

狂犬病とは

犬などの狂犬病ウィルスに罹患した動物に咬まれるなどして、だ液中のウィルスが体内に入ることで感染します。人から人へは感染しません。
犬の場合、2週間~2か月の潜伏期ののち、興奮状態で何にでも噛みついたりします。そして全身まひに至り死亡します。
人間の場合は、1~3か月の潜伏期間ののち、発症すると痛みやかゆみ、発熱、食欲不振等が始まります。そして精神錯乱になり昏睡し呼吸障害で死亡します。
発症したら100%の致死率です。現代医学では助かりません。
日本人では、フィリピンで犬に咬まれ帰国後数か月後に発症し死亡したケースが2006年にあります。


狂犬病のワクチン事後接種とは

狂犬病の発症は、咬まれた後にワクチンを注射することで防げます。
正式には「曝露後ワクチン」(ばくろごワクチン)というものです。詳しい内容と治療の手順は次の章でまとめます。


タイの犬は感染率が高い

日本では1957年に根絶されており、飼い犬はワクチン接種が義務付けられているので日本国内の動物であればほぼ安全です。
タイの場合は、野良とペット問わずワクチン接種率が低いため危険です。古いデータですが2001年にタイ保健省が全土で犬の検査をしたところ32%が狂犬病ウィルス陽性で、地方によっては50%以上だったそうです。
タイでは現在でも、毎年十人前後が狂犬病で死亡しています。


犬以外も危険!

狂犬病は犬だけの病気ではなく、全ての哺乳類に感染リスクがあり、ウィルスを持っている可能性があります。犬のほかは、猫、ネズミ、リス、コウモリ、キツネ、アライグマ、猿などです。
自分のペットでも、他の動物から咬まれて感染している可能性があります。


どういうときに曝露後ワクチン接種をすべき?

上記の動物に咬まれた場合は当然ですが、少しのひっかき傷や傷がわからない程度でも曝露後ワクチンを接種しないといけません。
たとえば、
・痛くない程度に甘噛みされた
・犬の歯に手があたった
・猫の爪でひっかかれた
・指の傷や、目や口など粘膜部分を舐められた

という場合でも大げさだと思わず、必ず病院へ行ってください。狂犬病に限らず破傷風など他の病気のリスクもあります。子どもの場合は咬まれたことを言わない可能性があるので注意してください。動物を撫でただけや、上記の部分以外を舐められた場合は感染しません。


第2章:犬などに咬まれたときの対処法

それでは、上記のようにタイで犬などの動物に咬まれたときの対処方法をまとめます。

咬まれた直後にすること

まず、動物の攻撃を避けてその場を離れてください。
動物の種類や、様子(首輪の有無、凶暴化しているとかよだれを垂らしているかなど)、場所も覚えておきましょう。
傷口を流水と石鹸で洗い流し、迅速に病院へ行きましょう。

持参するものは
・パスポート
・治療費(2000~4000バーツ前後)
・保険加入の場合は保険証書

バンコクの場合、大きな総合病院であればどこでも大丈夫です。
森や川など郊外の場合でも最寄りの町で大きい病院を目指して下さい。小さい病院ではワクチン在庫がない場合もあります。


病院へ行くのはいつ?

必ず当日中に行ってください
曝露後ワクチン接種をしても、発症(つまり死亡)ケースはあります。ほとんどの理由は、接種時間が遅かったことか、処置(後述)が不十分だったという場合です。
日本では24時間以内とされていますが、早いほど発症リスクが抑えられます。
たとえ帰国直前でも飛行機をキャンセルしてでもその日のうちに注射を受けてください。


病院へ着いたら

受付で犬に咬まれたことを伝えてください。予約なしでも緊急外来にまわされ対応してくれます。初めてでもすぐ診察券が作れます。
まず、状況などを聞かれます。バンコクの大きな病院では日本語通訳もいます。夜間などで通訳がいない(17時頃には帰ってしまう)場合でも英語は通じます。もしくは以下のものをみせてください。

โดนหมากัด ドーン・マー・ガッ「犬に咬まれた」
โดนแมวกัด ドーン・ミヤオ・ガッ 「猫に咬まれた」
โดนหนูกัด ドーン・ヌー・ガッ「ネズミに咬まれた」
โดนแมวข่วน ドーン・ミヤオ・クワン「ネコにひっかかれた」

วันนี้ ワンニー「今日」    เมื่อวาน ムア ワーン「昨日」  วานซืนワーン スーン「おととい」

เช้า  チャオ「朝」     กลางวัน  グラーン ワン「昼」  ตอนเย็น トーンイエン「夕方」คืน クーン「夜」

あとは、狂犬病の予防接種を受けているかも聞かれます。


注射の回数と内容の注意点

曝露後ワクチン接種は、噛まれた日を0日として、
0日・3日後・7日後・14日後・30日後の5回受けないといけません。この注射間隔は変えられません。
予防ワクチンを受けている場合は(1-3年有効)、曝露後ワクチン接種は2回ですみます。予防ワクチンを受けていたら咬まれても大丈夫ということではないので注意してください。途中でやめると効きません。また、曝露後ワクチンには種類がいくつかあって、同じものを5回打たないといけません。途中で病院を変える場合は前回接種した注射の種類がわかる診断書など持参してください。
後の接種日が日本への帰国後にあたる場合は、決められた日に日本で必ず曝露後ワクチンを受けてください。この場合もタイで受けたワクチンの種類を伝える必要があります。タイの病院で打たれたワクチンと同型のものが日本の病院にあるかはわからないので、1回目の受診の際、今後帰国して日本で残りの注射を受ける予定だと伝えてください。

噛み傷が大きい場合は曝露後ワクチン接種にくわえて、咬傷部位への抗狂犬病ウィルス免疫グロブリンの投与が必要です。万一小さい病院などの判断ミスで必要なのにこれを投与し忘れると発症する可能性がありますので、念のため自分でも留意しておいてください。


ワクチンの費用について

病院によりますが、1回1,000~2,000バーツ前後、5回で総額8,000バーツ前後です。
初回は抗生物質の投与や破傷風の注射も行われる場合もあるので高めになります。


保険を使う方法

海外旅行保険は、タイで動物に咬まれて病院へ行き治療した場合(曝露後ワクチン接種も含む)保障対象になります。キャッシュレス対応(病院で支払わなくてよい)になる可能性があるので以下の手順を守ってください。

まず保険の加入証書を病院に持参します。
病院で保険の手続き用紙が渡されるので備考欄に日本語で、
・来院理由(咬まれた動物と部位)
・咬まれた日
・今日は何回目の接種日か
の3点を接種2回目以降も毎回必ず書いてください。連絡先はタイでの携帯電話を、帰国予定の場合はその旨を書いて日本の電話番号とメアドを書きます。

保険は後日の保険会社からの確認を経て審査が通る仕組みです。当日タイの病院で支払いをしなくてすんでも、それは病院が清算を保留にしただけで、保険が効いたという意味ではありません。保険が適用外だった場合は、あとで請求が来ます。

書類審査後、病院受診後1か月~半年後に確認電話があります聞かれることは、
・どういう状況で何の動物にどこを咬まれたか
・病院に行った回数(例:タイの○○病院で3回通い、帰国後日本の××病院へ2回行ったなど)
などです。
電話に出なかったり、丁寧に答えないと審査に通らず請求がくる場合もあるので、記録は必ずとっておきましょう。海外旅行保険は健診の再検査や人間ドックなど検査には適用されませんが、狂犬病の予防接種も治療ではないため保険の対象外です。保険証書をみせると病院側が勘違いして対応する場合もありますが、結局、後日請求がきて面倒になるので、予防接種の場合は、保険は使わないと伝え費用を払ってください。

※保険については保険会社や契約内容で違いがあるので、契約内容をよく確認してください。当サイトでは保険の適用を保証できません。

さいごに 犬に襲われない方法

以上が、タイの狂犬病の事後ワクチンについてです。
厚生労働省ホームページや、バンコク・サミティベート病院HPなどを参考にまとめましたが、あくまでも一般論ですので自己判断せずに、少しの傷でも早めに病院を受診し医師の指示に従ってください。バンコクに野犬は10万頭いるそうです。都心で犬に咬まれるケースで多いのは、じつは公園や道路でのジョギング中です。犬は走るものに興奮して襲う習性があるからです。タイでの屋外ジョギングはおすすめできません。
犬を見つけたら走るのはやめて、背中をみせずにゆっくり立ち去りましょう。海外旅行者でバンコクに詳しくない方のために、ひとつ病院の地図を貼っておきます。
サミティベート病院というバンコク都心(BTSプロンポン駅近辺)にある大病院で、スクンビット・ソイ49から入ったところにあります。タイ在住日本人も多く利用する病院なので時間帯によっては日本語通訳もいます。

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