バンコククラブ

海外タイでの生活相談 バンコク起業サポート情報

タイのコロナ後の経済の動きに影響は?サウジアラビアとの関係改善

タイのコロナ後の経済の動きに影響は?サウジアラビアとの関係改善

目次

タイのプラユット首相は1月、サウジアラビアを訪問し、両国が2国間の外交関係を修復することで合意したと説明し2国間協力関係の強化・拡大につながるとの見方を示しました。

タイとサウジアラビアは30年前に起きた「ブルーダイヤモンド事件」という事件のため関係が冷えきっており、サウジアラビアで働くタイ人労働者は現在、わずか1000人程度しかいません。これが関係改善の結果、大幅に回復するのではという見方も出てきています。

このことがタイの経済へどのように影響するかについて、これまでの経緯もふまえてまとめてみます。

ブルーダイヤモンド事件とは

タイは世界中に出稼ぎ労働者を派遣している国で、現在でも中東諸国で働くタイ人は少なくないです。しかし、サウジアラビアは例外で1000人程度です。その1000人も、元々中東などの海外で働いていた個人が自力でサウジアラビアに働く場所を見つけたというケースが大半だそうです。

このよううな状況になっているのは「ブルーダイヤモンド事件」がきっかけでした。1989年、サウジアラビアでは多くのタイ人労働者が出稼ぎで働いていました。そうしたなか、タイ人男性クリアンクライ・テチャモンが、掃除夫として働いていたサウジアラビア国王の皇子の宮殿から、宝石などを91㎏も盗み出し、タイの自宅へ送りました。帰国後に売ろうとするが盗品である噂が広がりなかなか売れず、ある宝石商が格安で買い取ります。

国際的な騒ぎになったため、タイの警察当局は捜査を開始。盗んだテチャモンは逮捕され懲役7年の判決を受け、宝石商を取り調べし、宝石類を回収します。

しかし、タイ警察が回収した宝石類をサウジアラビアへ返却したところ、半数近くが偽物にすり替えられていたこと、そして一番高価な宝石である希少な「ブルーダイヤモンド」が含まれていませんでした

謎の事件があいつぐ

ここから事件は深い闇へ入ります。

消えた本物の宝石を探すため、サウジアラビアの外交官や当局の依頼を受けたサウジアラビア人実業家がバンコクで情報収集にあたっていましたが、1990年1月に外交官1人がシーロムで何者かに殺害され、2月には実業家が拉致されて行方不明になり、さらに外交官3人が殺害されました。

いずれも犯人や動機は現在に至るまで不明とされます。実業家の拉致事件について関与を疑われた警察官が5名起訴されましたが、最高裁が証拠不十分で無罪としています。

その間、当時のタイ政府高官の妻たちが、盗まれた宝石に似たものを身に着けているのではないかとされる写真が撮影されたり、口封じなのか宝石商の妻子が警察官に殺害されるという事件が起きるなど、事件は深い闇を感じさせる展開となります。

激怒したサウジアラビア当局は、在タイ外交団を代理公使レベルまで格下げし、タイ人に対する就労ビザの発行を停止し、自国民にバンコクへの渡航を控えるよう勧告して事実上タイへ渡航できなくする措置をとりました。

関係改善でのタイへの影響は

この事件から30年経ち、タイのプラユット首相が、サウジアラビアを訪問して事件に対して遺憾の意を表明、関係改善へ動き始めました。

これを受けて、タイには今後、どのような影響があるのでしょうか。

プラユット首相は帰国後、政府関係者に、タイからサウジアラビアへの本格的な労働力輸出再開に向けた動きを2カ月で具体化するよう指示をしました。

おそらく、労働ビザの発給などサウジアラビア側のタイ人労働者受け入れが進む予定をふまえてのことでしょう。事件前の最盛期にはサウジアラビアで働くタイ人労働者は20万人はいたそうです。つまり、これから20万人近いタイ人がサウジアラビアでの仕事を獲得する余地があるということです。

また、外交関係は相互のものなので、サウジアラビア側もタイへの渡航規制を緩和する可能性があります。タイへの海外旅行者、そしてタイで投資・事業をしようとするサウジアラビア人が増える見込みがあります。

タイは観光大国・貿易国なので、コロナ規制で経済に大打撃を受けていますが、外貨獲得や貿易の誘致で経済回復をしていこうという姿勢があることはまちがいないでしょう。

コロナ後の世界で、タイでは人材の動きと外貨の動きが加速していく可能性が高いです。日本もそうしたタイ側の動きにどれだけ対応できるか、気になるところです。

Return Top